Raspberry Piの供給完全回復と、価格戦略変更の今を考察する
皆さん、こんにちは。NeoHandheld管理人one-jです。
ここ数年、私たちガジェット好き、特にRaspberry Pi(ラズパイ)の愛用者にとって、その供給状況は常に頭を悩ませる問題でした。しかし、2026年を迎えた今、状況は劇的に改善されています。そして、この供給回復と共に、Raspberry Pi財団の価格戦略にも大きな変化が見られるようになりました。
激動を乗り越え、供給は完全回復へ
振り返れば、2020年以降のパンデミックは、世界の半導体サプライチェーンに甚大な影響を及ぼしました。ラズパイもその例外ではなく、特にRaspberry Pi 4やPi Zero 2 Wといった人気モデルは、高騰する価格と長い納期に悩まされる日々が続きました。私の周りでも、「欲しい時に手に入らない」「転売価格で買うしかない」といった声が絶えませんでした。
しかし、2024年に入ってから状況は徐々に好転し始め、そして2025年の後半には、主要なモデルのほとんどが安定供給されるようになりました。特に、満を持して登場した「Raspberry Pi 5」は発売当初から潤沢な在庫が確保され、そして先日発表されたばかりの「Compute Module 5 (CM5)」も、その供給体制は非常に安定していると聞いています。これは、財団が長年にわたるサプライチェーンの再構築と、製造パートナーとの協力体制を強化してきた努力の賜物と言えるでしょう。
Compute Module 5 (CM5)の登場と新たな価格戦略
供給の安定化は喜ばしい限りですが、同時に注目すべきは、財団が打ち出してきた新たな価格戦略です。特にCM5の発表は、従来のラズパイの「廉価で高性能」というイメージを塗り替えるものとなりました。
ご存じの通り、Compute Moduleシリーズは組み込み用途や産業用途に特化したモデルですが、CM5はその性能向上に伴い、価格帯も従来のCM4から引き上げられました。財団は、高まる産業用途の需要に応えるため、より高性能で信頼性の高い製品を提供することに注力する姿勢を明確にしています。
CM5の登場により、従来のRaspberry Pi 4や5の市場価格にも影響が見られます。一部のモデルでは、CM5との棲み分けを図るためか、価格の見直し(据え置き、あるいは僅かな値下げ)が行われる一方で、高性能なCM5を求める層には、それに見合った価格を提示するという、より明確なセグメンテーションが図られているように見受けられます。
Compute Module 5 (CM5) 主要スペック
※以下は本日時点での公開情報に基づくものです。
| 項目 | CM5 (4GB RAM / 32GB eMMC) | CM5 (8GB RAM / 64GB eMMC) |
|---|---|---|
| SoC | Broadcom BCM2712 (クアッドコア Cortex-A76 @ 2.4GHz) | Broadcom BCM2712 (クアッドコア Cortex-A76 @ 2.4GHz) |
| RAM | 4GB LPDDR4X | 8GB LPDDR4X |
| eMMC Flash | 32GB | 64GB |
| PCIe | PCIe Gen 3.0 x1 | PCIe Gen 3.0 x1 |
| ビデオ出力 | 2x DSI (4レーン), 2x CSI (4レーン) | 2x DSI (4レーン), 2x CSI (4レーン) |
| その他I/O | Gigabit Ethernet PHY, 28x GPIOピン | Gigabit Ethernet PHY, 28x GPIOピン |
| 対応OS | Raspberry Pi OS (64-bit) | Raspberry Pi OS (64-bit) |
| 発表価格 (参考) | $75 | $95 |
高付加価値化と市場の成熟
この価格戦略の変更は、Raspberry Pi財団が単なるホビイスト向けデバイスの提供者から、より広範な産業・プロフェッショナル市場へと軸足を移していることの表れだと私は見ています。
かつては「数ドルのコンピュータ」という触れ込みで登場したRaspberry Piですが、その性能向上と共に、産業機器の制御、AI・エッジコンピューティング、IoTゲートウェイなど、多岐にわたる分野で活用されるようになりました。それに伴い、単なる安さだけでなく、安定した供給、長期的なサポート、そして信頼性がより重視されるようになっています。
もちろん、これは趣味でラズパイを楽しむ私たちにとって、これまでのような「手軽に何でも試せる」という感覚から少し距離が生まれる可能性も否定できません。しかし、同時に、より高性能で信頼性の高いラズパイを、安定した価格で確実に手に入れられるようになったという点では、大いに歓迎すべき変化と言えるでしょう。
ラズパイの新たなフェーズが始まった今、どのような革新的なプロジェクトが生まれてくるのか、NeoHandheldでは引き続きその動向を注視していきたいと思います。
[ANALYSIS LOG]
本記事は公開時点の市場データに基づき構成されています。ハードウェアの仕様や価格は極めて流動的であるため、最終的な判断は各メーカーの公式データシートを参照してください。


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