Steam DeckでBaldur’s Gate 3のアップデートが遅い理由を考察:ボトルネックはストレージIOPSか

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皆さん、こんにちは、NeoHandheld管理人one-jです。

最近、Steam Deckユーザーの皆さんから「Baldur’s Gate 3のアップデートが異常に遅い」という声が多数聞かれます。特に大型アップデートの際には、ダウンロード自体はすぐに終わるのに、その後の「パッチ適用中」のプロセスで何時間も待たされる、といった状況に直面している方も少なくないのではないでしょうか。今日は、この問題の深層を探り、その原因と対策について私なりの見解をお話ししたいと思います。

Baldur’s Gate 3のアップデートが特殊な理由

Baldur’s Gate 3のアップデートが他のゲームと比べて遅いと感じられるのには、いくつかの理由があります。最大の要因は、ゲームのファイル構造とパッチ適用方法にあると考えられます。

一般的なゲームアップデートでは、特定のファイルが丸ごと置き換えられるか、非常に大きな塊でパッチが適用されます。しかし、Baldur’s Gate 3の場合、非常に多くの小さなファイルやリソースが細かく分かれており、アップデートの際には既存の膨大なファイル群に対して、差分パッチを一つ一つ適用していく方式が採られていることが多いようです。このプロセスは、まるで図書館の本を一冊ずつ開いて、必要なページだけを書き換えていくようなものです。ダウンロード自体はデータ量に応じて高速に行われますが、その後のパッチ適用はストレージ内部での大量のランダムアクセスを伴うため、ストレージの性能が直接ボトルネックとなります。

Steam Deckのストレージ性能とボトルネック

この「ランダムアクセス性能」が、今回お話しする「ストレージIOPS」に直結します。IOPS(Input/Output Operations Per Second)とは、1秒間にストレージが処理できる読み書き要求の回数を指し、特に小さなファイルを大量に読み書きする際の性能に大きく影響します。

Steam Deckのストレージは、モデルによってeMMCまたはNVMe SSDが搭載されています。上位モデルのNVMe SSDは比較的良好な性能を持っていますが、特にエントリーモデルに採用されているeMMCストレージは、シーケンシャルな読み書き速度こそそこそこあるものの、ランダムIOPS性能においてはNVMe SSDに大きく劣ります。さらに、Steam Deckに搭載されているNVMe SSDも、一般的なPC向けの高性能NVMe SSDと比較すると、コストと電力効率のバランスからか、IOPS性能が控えめなモデルが採用されている傾向にあります。

Baldur’s Gate 3のパッチ適用プロセスは、このストレージのランダムIOPS性能を極限まで要求するため、特にeMMCモデルや比較的IOPS性能の低いNVMe SSDを搭載したSteam Deckでは、そのボトルネックが顕著に現れ、アップデートに長時間を要してしまうのです。メモリ(RAM)も影響しないわけではありませんが、このケースではストレージが主要な足枷となっている可能性が高いでしょう。

IOPS性能の改善策と将来展望

この問題に対する最も直接的な改善策は、やはり高速なNVMe SSDへの換装です。Steam Deckはユーザーによるストレージ換装が可能であり、高性能なNVMe SSDに交換することで、Baldur’s Gate 3のようなI/Oヘビーなアプリケーションのアップデート速度だけでなく、ゲームのロード時間なども劇的に改善される可能性があります。ただし、換装作業は自己責任となり、適切な知識と工具が必要です。

換装が難しい、あるいは検討中の方への現実的なアドバイスとしては、アップデート中はSteam Deckをスリープさせずに電源に接続し、他の重い作業は避けることです。また、アップデートは時間のある時に計画的に行うのが賢明でしょう。

さらに、将来的なポータブルデバイスの方向性を考えると、ストレージIOPSの重要性はますます高まります。例えば、Raspberry Pi 5をベースとした高性能演算モジュールであるCM5(Compute Module 5)のような最新の基板は、高速なPCIe Gen3 x4インターフェースを備えており、高性能なNVMe SSDを直接接続することで、既存のシステムでは達成し得なかった高いストレージIOPS性能を発揮することが可能です。もちろん、CM5はSteam Deckとは異なるプラットフォームであり、メーカー公式の完成品として「Steam Deck CM5」のようなものは存在しません。しかし、このような高性能演算モジュールをベースとした自作機やサードパーティ製デバイスでは、設計段階からストレージのボトルネックを意識したシステム構築が可能となり、Baldur’s Gate 3のようなI/O負荷の高い処理もよりスムーズに行えるようになるでしょう。これは、現在のポータブルデバイスが抱えるストレージ性能の課題を考える上で、将来的な設計の方向性を示す一例とも言えます。

Steam Deck ストレージ性能比較(参考)

項目 eMMCモデル(参考値) 標準NVMeモデル(参考値) 高性能NVMe SSD(参考値)
シーケンシャル読み込み ~500 MB/s ~3,000 MB/s ~7,000 MB/s
シーケンシャル書き込み ~300 MB/s ~1,500 MB/s ~6,000 MB/s
ランダム読み込み (IOPS) ~10,000 IOPS ~100,000 IOPS ~1,000,000 IOPS
ランダム書き込み (IOPS) ~5,000 IOPS ~50,000 IOPS ~900,000 IOPS
Baldur’s Gate 3 アップデート時間 数時間~半日 1~数時間 数十分~1時間程度

※上記は一般的な参考値であり、実際の性能は製品や環境によって変動します。

まとめ

Baldur’s Gate 3のアップデート速度問題は、単なるダウンロード速度の問題ではなく、Steam Deckのストレージ、特にランダムIOPS性能がボトルネックとなっていることが主な原因であると私は見ています。ゲームの快適性だけでなく、こうしたシステムレベルの挙動一つ一つが、ガジェット体験の質を大きく左右します。

もしSteam DeckでのBaldur’s Gate 3のアップデート速度に悩まされているのであれば、一度ご自身のモデルのストレージ性能を確認し、必要であれば換装も選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、手間やリスクも伴いますので、ご自身のスキルレベルと相談して判断してください。ガジェットとの付き合い方は人それぞれですが、その裏にある技術的な側面を知ることで、より深くデバイスを理解し、使いこなすことができるはずです。

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本記事は公開時点の市場データに基づき構成されています。ハードウェアの仕様や価格は極めて流動的であるため、最終的な判断は各メーカーの公式データシートを参照してください。

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