こんにちは、one-jです。
最近のRaspberry Piの進化には目を見張るものがありますね。特に2025年Q4に発売されたCompute Module 5(CM5)は、その高性能と汎用性で、様々なプロジェクトの可能性を広げています。私もリリースと同時にそのポテンシャルに注目していましたが、今回は、このCM5を心臓部に据え、家庭用NASを自作する魅力について深掘りしていきましょう。
Raspberry Pi CM5がNASに最適な理由
Raspberry Pi Compute Module 5は、前世代のCM4から飛躍的な進化を遂げ、NAS用途においてもその能力を存分に発揮します。主なポイントは以下の通りです。
圧倒的な処理性能の向上
CM5は、最新のARM Cortex-A78世代のプロセッサを搭載し、大幅に向上したCPU性能を誇ります。これにより、ファイル転送時の処理速度はもちろん、Plexなどのメディアサーバーとして動画のリアルタイムトランスコーディングを行う際にも、安定したパフォーマンスを提供します。
PCIe Gen4による超高速ストレージ対応
最も注目すべきは、PCIe Gen4 x4インターフェースの搭載です。これにより、M.2 NVMe SSDを接続すれば、理論値で最大8GB/sの転送速度が可能となり、HDDでは考えられなかった高速なデータアクセスを実現できます。これは、大容量ファイルの編集や4K動画のストリーミングにおいて、体感速度に大きな差をもたらすでしょう。
ネイティブ2.5Gbpsデュアルイーサネット
CM5は、デュアル2.5Gbpsイーサネットポートをネイティブでサポートしています。これにより、家庭内のネットワーク環境が対応していれば、複数デバイスからの同時アクセスや大容量ファイルの転送時にも、ボトルネックとなることなく高速なデータ共有が可能です。Link Aggregation(LAG)を構成すれば、さらに帯域を拡大することも夢ではありません。
低消費電力とコンパクトなサイズ
高性能でありながら、Raspberry Piの設計思想である低消費電力はCM5でも健在です。24時間稼働が前提となるNASにおいて、電気代を抑えられるのは大きなメリットです。また、コンパクトなモジュール形式のため、専用のキャリアボードと組み合わせることで、非常に小さな筐体に収めることができ、設置場所を選びません。
Raspberry Pi CM5 主要スペック (仮想)
CM5のスペックがNAS自作にどれほど適しているか、主要な項目を見てみましょう。
| 項目 | Raspberry Pi Compute Module 5 (CM5) 主要スペック |
|---|---|
| プロセッサ | Broadcom BCM2713 (4コア 64-bit ARM Cortex-A78 @ 2.4GHz) |
| GPU | VideoCore VII (H.265 4Kp60 デコード、H.264 4Kp60 デコード/エンコード) |
| RAM | 8GB / 16GB LPDDR5 |
| ストレージ | eMMC (オプション 32GB / 64GB / 128GB) |
| PCIe | PCIe Gen4 x4 (M.2 NVMe SSD インターフェース) |
| ネットワーク | デュアル 2.5Gbps イーサネット (ネイティブ) |
| USB | USB 3.0 x2 |
| ビデオ出力 | 2x HDMI 2.0b |
| 電源 | 5V DC (キャリアボード経由) |
| 対応OS | Raspberry Pi OS (64-bit) 他 Linuxディストリビューション |
CM5でNASを自作するメリット
市販のNAS製品も素晴らしいですが、CM5を使った自作NASには独自の魅力があります。
- 高いコストパフォーマンス: 市販の同等性能のNASと比較して、初期費用を抑えることが可能です。
- 自由な拡張性: 必要なポートを備えたキャリアボードを選び、ストレージ(NVMe SSD、SATA HDD/SSDなど)を自由に組み合わせられます。将来的なアップグレードも容易です。
- OS・ソフトウェアの選択肢: OpenMediaVaultやTrueNAS SCALE Core (Mini)など、多様なNAS向けOSを自由に選択し、自分好みの機能を盛り込めます。Dockerを使ったサービス追加も簡単です。
- 省電力: 24時間稼働でも電気代の心配が少なく、環境にも優しい設計です。
- 学習体験: 自作を通じてLinuxやネットワーク、ストレージ管理に関する知識が深まります。
NAS自作に必要なパーツ
CM5でNASを構築する際に必要となる主要なパーツをリストアップします。
- Raspberry Pi CM5本体: NASの頭脳となるモジュールです。RAM容量は利用目的に合わせて選びましょう。
- CM5用キャリアボード: CM5を搭載し、必要なインターフェース(PCIe M.2スロット、SATAポート、2.5GbE LANポートなど)を提供するボードです。NAS用途に特化したものが各社からリリースされています。
- M.2 NVMe SSD: 高速なデータ転送を実現するために、PCIe Gen4対応のNVMe SSDは必須と言えるでしょう。容量は予算と用途に合わせて選択します。
- SATA HDD/SSD(オプション): 大容量データを保存したい場合は、PCIe-SATA拡張カードなどを利用してHDDを複数台接続する選択肢もあります。
- OS用ストレージ: CM5のeMMC、またはMicroSDカードをOSの起動ドライブとして使用します。
- 電源アダプタ: キャリアボードとCM5、接続するストレージに必要な電力を供給できる容量の電源を選びます。
- NASケース: パーツを保護し、放熱性を確保するためのケースも重要です。
- その他: 各種ケーブル(イーサネットケーブル、電源ケーブルなど)、放熱対策(ヒートシンク、ファンなど)。
構築手順の概要
具体的な構築手順はキャリアボードや選択するOSによって異なりますが、基本的な流れは以下の通りです。
- パーツの準備: 上記の必要なパーツを揃えます。
- ハードウェアの組み立て: キャリアボードにCM5、NVMe SSD(必要であればSATAドライブ)を取り付け、ケースに収納します。冷却対策も忘れずに行いましょう。
- OSのインストール: MicroSDカードまたはeMMCに、OpenMediaVaultやTrueNAS SCALE CoreなどのNAS向けOSイメージを書き込み、CM5を起動させます。
- 初期設定: ネットワーク接続、SSH設定、ユーザーアカウントの作成など、基本的なOSの初期設定を行います。
- ストレージの設定: NVMe SSDやSATAドライブをOSに認識させ、ファイルシステムをフォーマットします。RAID構成にする場合はここで設定します。
- 共有フォルダの作成: ネットワーク経由でアクセスするための共有フォルダを作成し、アクセス権限を設定します。SMB/CIFS、NFS、FTPなどのプロトコルを設定可能です。
- 追加機能の導入: メディアサーバー(Plexなど)、ダウンロードマネージャー、VPNサーバーなど、必要に応じて各種サービスやDockerコンテナを導入します。
注意点と課題
CM5でのNAS自作は魅力的ですが、いくつか注意すべき点もあります。
- キャリアボードの選定: 多くのキャリアボードが市場に出回っていますが、NAS用途に最適化されたM.2スロットやSATAポート、適切な電源供給能力を持つものを選ぶことが重要です。
- 冷却対策: 特にPCIe Gen4 NVMe SSDは高速動作時に発熱しやすいため、適切なヒートシンクやケースファンによる冷却が不可欠です。CM5自体も高性能化に伴い発熱するため、統合的な冷却計画を立てましょう。
- データの冗長性: 重要なデータを扱う場合は、RAID 1(ミラーリング)などでデータの冗長性を確保することをお勧めします。ただし、CM5で複数のSATAドライブを扱うには、適切なキャリアボードと追加のPCIe拡張カードが必要になる場合があります。
- ソフトウェアの知識: LinuxベースのOSを扱うため、基本的なコマンドライン操作やネットワーク知識がある程度必要になります。
まとめ
Raspberry Pi Compute Module 5の登場により、高性能かつカスタマイズ性の高いNASを自作することが、これまで以上に現実的で魅力的な選択肢となりました。CM5の強力なCPU性能、PCIe Gen4による高速ストレージ、そしてネイティブ2.5Gbpsデュアルイーサネットは、自宅のデジタルライフをより快適で豊かなものに変えてくれるはずです。
私自身もCM5ベースのNAS環境を構築し、日々その恩恵を享受しています。多少の手間はかかりますが、それに見合うだけの満足感が得られることは間違いありません。ぜひこの機会に、あなただけのスマートなストレージ環境構築にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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本記事は公開時点の市場データに基づき構成されています。ハードウェアの仕様や価格は極めて流動的であるため、最終的な判断は各メーカーの公式データシートを参照してください。


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